元禄年14年(1701年)頃創業、320年以上の歴史を誇る大阪最古の酒蔵の一つ。江戸時代には「江戸下り酒」として江戸の市場で人気を博した「池田酒」の伝統を今に伝える唯一の蔵元。最盛期には38軒もあった池田の酒蔵も現在は2軒のみとなり、その中の1軒である呉春は貴重な存在。月待山の地下水を使用し、一升瓶のみの販売を貫く伝統的なスタイルを守り続ける。「五味が調和した味わい」をモットーに、辛口でキレのある「池田酒」特有の風味を現代に伝えている。
池田の酒造りは室町時代末期から安土桃山時代に始まり、江戸時代中期に全盛期を迎えた。呉春の蔵元はこの池田酒全盛期にあたる元禄年14年(1701年)頃に創業した。「呉春」という名前が使われ始めたのは江戸後期の弘化4年(1847年)頃からで、それ以前は別の銘柄で営業していた。江戸時代、池田酒は猪名川の伏流水と山間部の良質な米を活かした辛口の味わいが特徴で、「江戸下り酒」として江戸の市場で人気を博した。しかし安永5年(1776年)に満願寺屋の失脚とともに「御朱印」を取り上げられ、宮水が発見された災の地に江戸下り酒の地位を譲ることとなった。最盛期には38軒あった池田の酒蔵も、現在はわずか2軒のみ。呉春はその中でも320年以上にわたって「池田酒」の伝統を守り続ける貴重な存在である。府の地で、長年にわたり地域に根ざした酒造りを続け、伝統的な技術と現代的な品質管理を融合させることで、高品質な日本酒を提供し続けています。地域の食文化と共に発展し、多くの人々に愛される酒蔵として、その歴史を刻み続けています。
呉春は伝統的な酒造りと一升瓶のみの販売スタイルを貫く老舗蔵元で、観光対応に関しては一般公開されていない。池田市綾羽1-2-2に位置し、箕寺庂街道沿いにある伝統的な蔵元建築を外観から見学することは可能。商品は地元の酒店や百貨店で購入できる。3種類のレギュラー商品(池田酒・本丸・特吸)に加え、2009年からは9〜12月の限定で大吸醸も登場。日本酒を通じて江戸時代から続く池田の酒文化を体感できる。アクセスは阪急宝塚本線池田駅から徒歩10分。
320年以上にわたり「池田酒」の伝統を守り続けてきたこと自体が最大の進梠であり、日本酒文化の維持・伝承における貴重な貢献として評価される。江戸時代には「江戸下り酒」の一翼を担い、江戸の市場で高い人気を誇った歴史を持つ。現在では大阪府内で唯一残る池田酒の蔵元として、地域の文化遺産的価値を有している。一升瓶のみの販売という伝統スタイルを貫き、大量生産に走らず品質を重視した酒造りで、日本酒愛好家から根強い支持を得ている。池田市の代表的な地酒として、地域アイデンティティの維持と日本酒文化の伝承に重要な役割を果たしている。
大阪府池田市綾羽1-2-2
電話: 072-751-2023