1681年花木酒造として創業、灘五郷西郷地区に位置した歴史ある酒蔵。1963年に富久娘酒造として再出発し、旭化成グループ、オエノングループを経て合理化を進めた。2018年にオエノングループ内の事業再編で清酒事業を終了。「富久娘」ブランドは福徳長酒類に、「福鵄」ブランドは合同酒精東京工場に譲渡され、社名もオエノンプロダクトサポートに変更された。江戸時代から340年以上の歴史を持ち、灘五郷の伝統と財界の合理化の浮き沈みを体現した酒蔵として、現代日本酒業界の構造変化を象徴している。現在は清酒製造は行わず、オエノングループのサポート事業を展開している。
1681年(天和元年)、花木酒造として灘五郷西郷地区で創業。江戸時代から明治初期にかけて「富久娘」ブランドで地元に根ざした酒造りを展開。戦後の1963年に旧花木酒造の事業を東洋醸造が継承し富久娘酒造として再出発。1970年に旭化成工業傘下に入り、大企業の資本力を背景とした設備近代化と製造効率化を進める。2003年にオエノングループに組み込まれ、焼酎メーカーとしてのノウハウと経営効率化を追求。しかし、2018年にオエノングループ内の事業再編で清酒事業を終了し、「富久娘」ブランドは福徳長酒類に譲渡。社名をオエノンプロダクトサポートに変更し、灘の地での酒造りは終了。340年以上の歴史を持つ灘五郷の老舗酒蔵として、日本酒業界の構造変化と合理化の流れを体現した代表例として注目されている。
2018年をもって清酒事業を終了したため、現在は酒蔵見学や観光施設としての機能は停止している。かつては灘五郷西郷地区の代表的酒蔵として、富久娘ブランドで地元に愛されてきた歴史がある。現在の富久娘ブランドは同じオエノングループ内の福徳長酒類が製造・販売しており、伝統の継承とブランドの維持が図られている。灘五郷の酒蔵めぐりを行う際には、日本酒業界の構造変化を象徴する歴史的事例として、企業合理化とブランド継承の問題を考える教材としての意義を持っている。
340年以上の歴史を持つ灘五郷の老舗酒蔵として、江戸時代から続く酒造りの伝統を維持してきた歴史的価値が評価される。2018年の清酒事業終了までは、富久娘ブランドで地元に愛され続け、灘五郷の代表的酒蔵の一つとしての地位を確立。現代日本酒業界における企業合理化とブランド継承の問題を象徴する代表事例として、業界関係者や研究者から注目されている。最終的には清酒事業を終了したものの、富久娘ブランドは同じグループ内で継承され、伝統とブランド価値の保全が図られたことは、日本酒業界における事業継承の成功例として評価されている。
〒657-0845 兵庫県神戸市灘区深江本町三丁目(灘五郷西郷地区)