井手酒造有限会社は〒840-1105 佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙806番地1で伝統的な酒造りを行う蔵元です。地域の特色を活かし、地域の気候風土を最大限に活かした酒造りを特徴としています。厳選された原料米と清らかな仕込み水を用い、熟練の技により米の旨みを最大限に引き出す醸造を心がけています。食中酒として料理との調和を大切にし、地元の食文化と密接に結びついた味わいを追求し続けています。
明治元年(1868年)、茶の研究と海外輸出に携わっていた井手與四太郎氏が、嬉野川の清流を利用して酒造業を開始し、井手酒造を創業しました。與四太郎氏は「虎はわが児を思う情けが深い。その虎児のようにいつまでも情けをもって可愛がられたい。そして千里を走る虎のようにその名が遠く響き渡りたい」という願いを込めて、造る酒を「虎之児」と名付けました。嬉野温泉の中心地に位置する蔵は、日本でも珍しく母屋の地下に天然温泉が湧き出る特異な環境にあります。大正時代には、放浪の俳人・種田山頭火が嬉野を訪れ、日記に「たらふく飲んだ『虎之児』よろしい」と記し、その足跡は現在も蔵の店先にある記念碑に刻まれています。創業以来150年以上、一度も途切れることなく伝統の酒造りを続け、山口流派の杜氏による長期低温発酵技術を受け継いできました。平成の時代には、小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)の性能計算書表紙に虎之児のラベルが採用されるという栄誉に浴しました。これはJAXAが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という諺を体現する探査機の精神と、虎之児の名前が持つ意味を重ね合わせたものでした。現在も地元嬉野の茶農家である蔵人たちが、日本三大美肌の湯として知られる嬉野温泉の恵みを受けながら、伝統の技と情熱を注いで酒造りを続けています。
酒蔵見学は事前予約制で受け付けており、実際の酒造りの現場を間近で見学することができます。経験豊富な蔵人による丁寧な説明を聞きながら、日本酒造りの奥深さと伝統技術を体感できます。見学後は試飲コーナーで季節の限定酒を含む数種類の日本酒をお楽しみいただけ、直売所では蔵元限定の特別な商品もご購入いただけます。
井出酒造の代表銘柄『虎之児』は、長年にわたり各鑑評会で幾度も金賞を受賞しています。特に2020年には酒類鑑評会純米の部で大賞を受賞し、さらに小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)の性能計算書表紙に虎之児のラベルが採用されるという栄誉に浴しました。これはJAXAが『虎穴に入らずんば虎子を得ず』という諦を体現する探査機の精神と、虎之児の名前が持つ意味を重ね合わせたものでした。山口流派の杜氏による長期低温発酵技術は體美な吟醸酒を生み出し、その品質の高さは業界内外から高く評価されています。